花と過ごす心豊かな暮らしをもっと身近に
小川典子
一般社団法人花の国日本協議会プロモーション推進室長/フラワーシーンプロデューサー
2022/08/02
小川典子さんは一般社団法人花の国日本協議会プロモーション推進室長/フラワーシーンプロデューサー。会社勤めの傍ら23歳から本格的にフラワーアレンジを学び,2010年からは花業界の一大プロモーション「フラワーバレンタイン」の推進リーダーとなり,その後,花のホームユース需要拡大「WEEKEND FLOWER」プロモーションや「#花のABCワークショップ」など,花業界の消費拡大プロモーションを担っておられます。
Q福山市や広島県との関わりについて教えてください
広島県内には,「フラワーバレンタイン」,「WEEKEND FLOWER」,「#花のABCワークショップ」等のプロモーション活動に積極的に取り組んでくださっている花市場,花屋さんが数多くあり,皆さまと交流があります。
小川さんの最近の活動について
「フラワーバレンタイン」(※1)や「WEEKEND FLOWER」 (※2)の取り組みは,花屋さんの店頭や異業種コラボイベント,メディアを通じてお客様にも広がりつつあります。
現在は,20代~40代の花の初心者向けに「#花のABCワークショップ」(※3)という企画を全国の花店と共に展開しています。「花のある暮らしに興味はあるけれど,実際に暮らしに取り入れていない」という,花の潜在客が非常に多く,そういった方々の本音を探ったところ,「花を扱ったり飾ったりする基本的な知識がない」というコンプレックスに近い感情があることがわかりました。「#花のABCワークショップ」は,それらを解消するためのワークショップです。花屋さんが講師となって花の取り扱いや飾り方の“基本のキ”を伝え,参加者の方々に実際に花を生けていただき,花や花屋さんへのハードルを下げることを目的としています。
本ワークショップを通じて,花を長く楽しむコツを得て花を飾ることが楽しく感じる方が多く,100%近い方が,「これから花を暮らしに取り入れたいと思う」と態度変容を示す結果でした。こうした結果を踏まえて,さらに活動の輪を広げていきたいと思います。
(※1)フラワーバレンタイン公式サイト
花初心者向けサイト「はじめて花屋」
Q.これからの取組,めざすところを教えてください。
コロナ禍でおうち時間が増えたことにより,若い人を中心に自宅に花やグリーンを飾る人が激増しました。花店でもホームユース需要の広がりに手応えを感じており,花のサブスクリプション(月額課金・定額制)のようなサービスも広がっています。
花業界としては,コロナ禍を機に花を飾り始めた新規のお客様を,一過性ではなく定着させるためのアクションがますます重要であると考えます。お客様に,ご自宅でのケア方法や簡単おしゃれな飾り方,旬の花の楽しみ方を伝えるなど,花店から日々の情報発信することやコミュニケーションをとることの重要性を訴えています。お客様にとっての「My花屋」になってほしいと願っています。
「WEEKEND FLOWER」活動の一環で雑誌『フローリスト』に連載記事を掲載しましたが,それを再編集した書籍『花と器の素敵な合わせ方』(誠文堂新光社)を最近発刊しました。花を飾ることが楽しくなり始めた初心者に向けて,知っていると楽しい旬の花の情報や,花の組み合わせ,身近な雑貨などを活用した花と器のコーディネート術など,たくさんの素敵な飾り方アイデアをお伝えする一冊です。ぜひたくさんの方に手に取っていただければと思っています。
Q福山市のRose Expo(ばらをテーマにした祭典)に期待する事やアイデアがあれば教えてください。
イベントを通じて,「花のある暮らしって素敵!」と憧れの気持ちを抱いてもらったり,イベントでのささやかな体験が「自分もばらを飾ってみようかな」という行動を促したりする“きっかけ”になると良いと思います。若い方たちにはまず,「ばらのある暮らし」に興味を持っていただくことが大切ですね。Rose Expoでは,福山の様々な分野の企業とコラボしながら若い方との接点を創出し,魅力的な「ばら」×「○○」のコンテンツがたくさん企画されたらいいなと思っています。
私が以前参画したイベント「国際バラとガーデニングショウ」では,暮らしの中でばらを楽しむ空間演出を手掛けていました。我々創っている側も楽しんでいると,その気持ちが来場者にも伝播して,一緒にばらを楽しんでいただけた手応えがありました。
自分でばらを育て,丹精込めて咲かせた花を飾ることはこのうえない喜びですが,年間を通して花屋さんで購入することができる多様な種類の「切り花のばら」を飾ることも,手軽で素敵なライフスタイルだと思います。もっと気軽にばらをインテリアとして飾っていただけるよう,地域の花屋さんとお客様の距離を縮めるような働きかけも,Rose Expoを通じてできたらよいですね。花業界の中では,「6月2日ローズの日を広めていこう!」という機運もあるので,福山市の花屋さんたちにはRose Expoの会期中から一緒に盛り上げていただき,全国の花屋さんのモデルになるような展開をしていただければと思います。
ばらを語ろう