インタビュー

ばらを楽しむ自分らしい庭をつくりましょう

有島 薫

ローズライフアドバイザー グリーンアドバイザー 園芸ソムリエ

2022/06/03

既成概念にとらわれない自由な発想で,ばらの魅力と栽培の楽しさを,各メディアを通じて紹介している有島薫さん。ばら関連のセミナーでは,「気軽に手軽にばら栽培」をモットーに栽培テクニックを分かりやすく伝え,理路整然とした明快な語り口が好評。イングリッシュローズをはじめ,あらゆるタイプの人気品種,最新品種を自ら鉢で栽培していらっしゃいます。

Q.福山市との関わりと,印象について教えてください。

福山市にはコロナの前までは,講習会で春秋訪れていました。

その時市内のばら園に植栽されているばらを見ています。福山ばら会が中心になって活動していますね。3年前に訪れた時は福山駅南口前が整備され,ばらの町にふさわしくなっていたのが印象的でした。

植栽を見るとペイサージュ(修景ばら)が多く,観光で来た人にはいいと思いますね。

今春から福山駅北口スクエアにばらと草花とで花壇作りが始まるようなので楽しみにしています。

そこにはばら好きの人達に人気の新しいガーデンローズに草花などが混植されたガーデンになればと思っています。これが世界的な傾向です。

今,ばらの愛好者は95%が女性と言われています。ばらを育てている場所は庭か,都市部ではマンションなど集合住宅のベランダで楽しんでいる方が多いです。ばらだけを育てているより,ばらと一緒に似合う草花も育てている方がほとんどです。

関東で例にとりますと一般の人達が行くところとして京成バラ園,神代植物園,横浜港が見える丘公園などがあり,ばら愛好者に人気がある所としては,横浜イングリッシュガーデン,中之条ガーデンズなどがあります。ばらをメインにしたガーデンが,自分のガーデンライフの参考になります。福山にもコアになるガーデンが欲しいですね。

 

 

Q.今,実践していることや探求したいことは?

 

―ばらは四季咲きー

今は秋,花の少ない季節ですがこの庭は花が多いでしょう。私は基本的にできるだけ花の期間の長いもの,ばらだと四季咲き性の強いばらを選んでいます。花好きな人にはお花が咲いていた方が良いでしょう。

この庭を7年前に作った当時「バラの家」の育種家木村卓功さんから「今まで一季咲のオールドローズやイングリッシュローズの有島さんだったのが,最近では『ばらはいつも花のある四季咲きが良い』とおっしゃっていて,言うことが全く変わりましたね」とからかわれたので,広い庭の時は一季咲きでもいいですが,今の庭のように小さくなると四季咲き性のばらと季節の草花がいつも咲いている方が皆さんに好まれるのだから木村さんも,四季咲き性のよいばらを作った方が良いですよっていいました。

木村さんもばら好きな人の事は良く判っていて,いまでは育てやすいばらを作る第一人者です。

 

―庭の花色―

5 月から秋まで咲き続ける草花は有難いです。ずっと花があるセンニチコウ,ユーフォルビアの白い花,霜が降りだめになったら後はドライフラワーにして楽しみます。次はビオラ,アリッサムや球根などで冬の花にしていくと年中花が楽しめます。寄せ植えの花は長く咲く花で入れ替えていくと,庭に花が絶えないですみます。

冬はばらを剪定して枝だけで寂しくなるので,クリスマスローズが活躍してくれ,大きな鉢にラナンキュラスの花色にあわせて,暖色系のオレンジ,ビタミンカラーの黄色などのビオラや草花を合わせて植えて,冬の庭を彩っています。

一月でも咲いている赤いばらは,育種家木村卓功さんの四季咲き性の強いばらのマイローズです。

アーチの右側は赤,ローズピンク,黄色などカラフル系のばらで,左側は白から淡いピンクのばらにして,草花もブルー系の忘れな草,ギリア,矢車菊など淡い色のばらに合うような草花と合わせています。

 

―庭の工夫―

マンションの前庭の小さな庭ということもあり,地植えにすると木は成長して大きくなるので,私は全部鉢植えで育てています。庭の奥の方にあるミモザもシラカバも鉢植えです。

フォーカルポイントは,二連のアーチの奥にある手作りのウォールシェルフかな。

これ以外の庭に置いてある資材入れのボックスや棚などDIYで作ったものです。

アーチには普通つるばらを誘引しますが,春に一回しか咲かない品種が多く,大きくなって納まらなくなるので,私はアーチには四季咲き性のイングリッシュローズのジェフ・ハミルトンやウィリアム・モリスなど四季咲き性のあるシュラブローズを誘引しています。

7 年前に,以前住んでいた庭からばらは50 鉢,クリスマスローズは150 鉢から70 鉢まで絞ったのを持って引っ越して来ました。その後ばらは増えるばかりで,いまは100鉢くらいになっています。

クリスマスローズも毎年花を見ると欲しくなり,増やすと置き場所に困るので,育てている中の一部を好きな方に差し上げ,鉢数をキープしています。

 

Q.福山市では世界バラ会議と同じ時期にRoseExpo(ばらをテーマにした祭典)の開催を予定していますが,イベントを行う上で大切だと思うことは何でしょうか

イベントでは西武ドーム(現ベルーナドーム)の「国際バラとガーデンニングショウ」,横浜ばら展などでもばらの展示の人気があるのは勿論ですが,ばらを含めた販売ブースが人気です。各ブランドのばら等を一堂で見て購入できるからです。イベントでは販売ブースがとても重要です。

世界バラ会議の【殿堂入りのバラ】を見ても世界のばらの傾向の変化が判ります。

殿堂入りのバラは,2000年以前ではハイブリットティーが中心です。2003年以降ではハイブリットティーは エリナ一品種のみでシュラブローズなどガーデンローズが多くなっています。

日本でも1990年代まではハイブリットティーが人気でした。2000 年以降はガーデンローズが人気の中心です。 例えば「国際バラとガーデンニングショウ」の売店で販売されていたハイブリットティーは京成バラ園芸のブースの一部で,あとの出店者はシュラブローズなどのガーデンローズのブランド品でした。

このようにばらの嗜好も世界的に変化を続けています。

ばら園の植栽も古くなると人気が落ちます。

今の福山市内のばら園の植栽も一考が必要です。

 

Q.2025年世界バラ会議福山大会の開催にむけて,福山市のみなさんへの応援メッセージをお願いします

ばらの街で暮らすばらのある暮らし,癒しのある街 福山「ローズマインド」

まだ早いと思われるかも知れませんが,2025年はすぐにきます。

いろいろな宣伝媒体を使って情報発信することが,ばら好きの人に届くのではないでしょうか。

 

ばら好き目線で楽しめ!

ばら好きな人はばら好きな人が好き。

各国のばら会の方と海外からの参加者は,ばらのイベント会場と共に日本を観光することが目的です。

国内から福山に来る方はばら観光から自分のばらの育て方の参考にする人まで幅広いです。

その中でばら好きが集い,ばら好き同士,国内のばらのリーダー的な人との交流の場は,今までのばら展でも盛況で,ばらを育てる励みになっています。

全国から来るばら好きには,このような機会でないと購入出来ない国内有名バラナーセリーのばらを福山に来た記念に購入するとか,ブリーダーやばら生産者の生の声が聞けることも魅力です。

あわせてばら関連資材メーカーの出店から購入や情報を得るとか,このイベントに来る動機につながると思います。

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