概要

　ガーデニングの歴史は現在絶滅したバラの物語です。バラのマーケットは新規性に賭けています。今年の新品種は短寿命になるでしょう。植物の栽培は、一つの園芸現象ではなく、私たちの文明の文化史に絶対に必要な部分です。私たちの好きなバラはいつもこのドラマの主要な役割を演じてきました。インターネットの進化は、植物学と歴史学を組み合わせる学者とって情報がより利用しやすくなりました。系統発生論（進化論に基づく）の出現は栽培バラの起源や品種間の類縁関係を決定することを可能にしました。世界中のガーデンで、あまりにも多くのヘリテージローズが認知されていないままです。今日のバラは品種保存に対する明日の挑戦になるでしょう。その名前が消えたり、栽培されなくなるようなことは決して許されるべきではありません。私たちは何をすることができるのでしょうか。私たちに楽しみをもたらしてくれるバラ遺産が孫の喜びのために生きながらえてくれるように、私たちはどのように保証できるでしょうか。私たちはお金、エネルギー、ビジョンと良き組織が必要です。あらゆる国がその役割を果たす必要があります。そして、世界バラ会連合がその先頭を走ってほしいと思います。

略歴

長年バラに関わっており、多言語に翻訳されている「Encyclopedia of Roses（バラ百科事典）」(Dorling Kindersley, 2003) を執筆。チャールズは約1600の品種のつるばらが記述されている「Climbing Roses of the World（世界のつるばら）」を執筆。両名はイギリス王立バラ会の理事を務め、ヒストリック・ローズグループの代表も務めた。ブリジッドは世界バラ会連合の保存・ヘリテージ委員会の議長も務めた。チャールズはヘリテージ・ローズ雑誌「BAON」の共同編集者であり、両者は翻訳者としても活動している。ブリジッドはイギリスの外交官兼学校検査官であり、チャールズは法律家兼歴史家であるが、現在はライフスタイル雑誌「Country Life」のジャーナリストとしてよく知られている。両者はイギリスとアイルランドの国籍を持っているが、フランスに長年居住。イングランドにある彼らの庭園は一般公開されており、フランスの庭園は私有ではあるが約1500本のバラが植えられてる。

概要

　Rosa persica交雑種は最近育種されてきた最も新しく独特なバラです。Rosa persica の花には赤い目があり、他の野生種には見られない独特で珍しい特徴です。英国のジャック・ハークネスとアレック・コッカ―による1960年代の画期的な育種が、この特徴をもつガーデン向きのバラの開発に向かわせました。彼らの育種はラルフ・ムーア（アメリカ）、クリス・ワーナー（英国）およびピーター・イルシンク（オランダ）に引き継がれ、最前線となっています。さらに最近では、ペルシカ・ローズの人気がこの10年ぐらいで上がり出すとともに、多くの他の育種家が彼ら自身の育種を展開しています。英国では、この人気はクリス・ワーナーが発表した極めて病害耐性の高い「アイ・オブ・ザ・タイガー」、「ブライト・アズ・ア・ボタン」、「フォー・ユア・アイズ・オンリー」に集まっていて、これらの品種は、2015年に切望されていた「ローズ・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

　Rosa persica交雑種のナショナルコレクションは、この珍しいバラグループを保存するために2022年に作られ、現在、55品種が保存されています。これらのなかには、ハークネスの最初の品種、ティグリス、ナイジェル・ホーソンも含められ、最近の品種では、クリス・ワーナーのピーターズ・ペルシカやコルデスのシー・ユー・シリーズなどのような品種があります。コレクションを造るということは、実際の植物を集めることだけでなく、その植物の歴史や展開を記録することにあります。この講義では、Rosa persica ストーリーの一端と、将来世代のためにこれらを保存する私の小さな役割についてお話しします。

略歴

プラント・ヘリテージから授与されたロサ・ペルシカ(Rosa persica) の交雑種の英国ナショナルコレクションホルダー。

コレクションは55の異なるペルシカの交雑種から成り、ノーフォークのケニングホールにある私有の庭園に所有されている。英国バラ会ブリーダーズグループの代表であり、前会計担当者。RHS（英国王立園芸協会）樹木委員会の准会員、ばらコンテストの審査員、イギリス、ハートフォードのロッチフォード国際ばらコンテストのモデレーターパネルのメンバーも務める。またケニングホール・ガーデン・クラブの代表者も兼任。

概要

　北アメリカでは、バラは2000～3000万年前に出現しました。人類はたった16,000～25,000年前にアメリカに到着しました。東半球ですでに知られていたバラがあったことは、うれしい驚きだったに違いないと思います。

　1500年代半ばにヨーロッパ人がカリフォルニアに到達する前、アメリカ先住民は生活の中にバラを取り入れていました。彼らは日常生活でのバラの実用性を探求しており、精神的な価値があることを理解していました。

　ヨーロッパ人はガーデンローズをカリフォルニアに持ち込み、囲われた庭に食用や薬用植物に並んでバラを植えました。スペインの宣教師がメキシコから北に通った道は今もバラの道です。

　カリフォルニアの魅力は、温暖な気候と花咲く丘を探すヨーロッパ系アメリカ人を西へ引き寄せました。そのことはまた、その土地に平和に土地に結び付き暮らしていたアメリカ先住民の暮らしの終焉でもありました。1849年にシエラ・フットで金が発見されるとともに、新たな人口がその地で急増し、すべてが変わりました。

　移民の波は生活を切り開くための道具をもたらしました。それらの道具には、強力な入植やウェルビーイングのシンボルとしてのバラも含められていました。続く100年の間に、バラはこの地に多大な影響をもたらしたでしょう。

略歴

ヘリテージ・ローズ基金（HRF）の創設メンバーで、2005年から2015年まで出版担当の副会長を務める。2005年にはカリフォルニアのバラの歴史に関するHRF会議をエルセリートで主催した後、他の編集者たちと共にHRFの機関紙、ロサ・ムンディ（Rosa Mundi）を考案し、発刊。また、世界のミステリーローズ（Mystery Roses Around the World）の共同編集も行った。

2012年には、歴史的なバラのコレクションを非営利団体である「The Friends of Vintage Roses」に譲渡した。この団体は、バラを教育的、文化的、科学的価値のために保存することに献身しており、バラを保存するために共同の使命を掲げ、他者と協力し共有する活動を行っている。

概要

　ノルディック・ローズは北欧で育種されてきた、丈夫で庭に向いたバラに興味を引くことを目的にしたプロジェクトです。ファウンドローズもこの目的に含められます。それは、スカンジナビアの５ケ国のバラ協会の間での協同作業でもあります。

　POM：栽培植物の多様性のためのスウェーデンのナショナルプログラム

プロジェクトリーダー：Lars-Ake Gustavsson

  POM は栽培植物資源の長期間生存、また持続性のある利用を確実にするものです。そのプログラムはこの点における国当局、組織、私的な機関やNPO（非営利組織）の活動と協議のうえで農業省により始められました。アルナープにあるスウェーデン農業科学大学がPOMの様々な活動を調整することの責任を負っています。さらなる研究や品種保存に対してPOMに認識してもらうために、バラには1950年より前に遡る記録された歴史がなければなりません。スウェーデンが起源のすべてのバラも、スウェーデン・ナショナル・ジーンバンクの一部分になるでしょう。POMの主な課題として以下のようにまとめることができます。：目録と文書・コレクションの評価と分類・比較文化・DNA研究・文献と古文書の研究・ナショナル・ジーン・バンクにおける将来の品種保存・繁殖や育種を含むジーンバンクのバラの利用促進・教育、情報発信および出版・栽培植物の研究（遺伝的変異の）の組織化と継続・国際協力 

略歴

1968年ノルウェー出身。2007年からスウェーデン在住。

学歴・技能: 船長（マスター・マリナー）

1997年以来、自然と生物多様性の探究に興味を持ち、バラとアイリスのアマチュア育種者でもあります。

経歴：

2019年～2024年: スウェーデンばら協会会長

2018年～2024年: ノルディックばら協会会長

2018年～2025年: WFRS 保全・ヘリテージ委員会スウェーデン代表

WFRSブリーダーズクラブのメンバー

2024年に開催されるWFRS地域大会およびヘリテージローズ大会のコンビナー（招集権者）

www.nordicroses2024.com

2025年の福山で開催される世界バラ会議に参加することは、私にとって非常に特別であり、また長年禅の修行をしているという私的な意味でも名誉なことです。